廃用身

廃用身
久坂部 羊
幻冬舎文庫

麻痺によって動かず,回復の見込みもない手足を指す廃用身.神戸にあるデイケアクリニックで働く漆原はAケア(廃用身の切除による被介護者のQoL改善)を思いつく.一見順調に見えたAケアだが,マスコミの告発をきっかけに暗礁に乗り上げ…という話.

内容: 廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく―。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。 (引用)

上記のマスコミによる告発だけではなく,Aケアを受けた患者二人の死と漆原が気付いていなかった自身の性格に気付いたことが原因で漆原は自死を選ぶ.

岩上はAケアを受けるまで,家族(妻と息子)に虐待を受けていた.Aケアを受け左腕と両脚を切断してから性格が明るくなり,家族だけでなく介護クリニックのスタッフとの関係も改善していった.(何がきっかけか忘れだけど)自分の人生を記録するため,カセットテープに自分の人生を語るという作業を始めた.その中には,幼少時の話だけではなく,かつて受けた虐待に対する恨み辛みも語る.そして,ある日妻と息子を殺害し,その一部始終を遺書代わりにカセットテープに録音していた.

マサさんは,両脚切断のAケアを受けた患者.漆原が働いていた出井クリニックがマスコミによる告発をきっかけに閉鎖されたため,別の施設に通っていた.Aケアによる四肢損失者が何人もいる漆原のクリニックとは異なり,新しい施設では両脚の無いマサを奇異なモノを見る目で見られることを苦にして自死した.マサが遺した遺書には「本当は足は切りたくなかった.漆原に『足を切りたい』と自分で言うように仕向けられた.」と書いてあった.マサの息子がこの遺書を漆原に見せた.

実は漆原は嗜虐性向がある人間で,小学生の頃,虫の手足をもいだり同級生をいじめていたりとしていた人物であることが後半に書かれる.本人が泥酔下で述べたことだが,絶対的優位な立場に立てる要介護老人を相手にしていたことも含め,「あくまでもAケアは患者のため」と宣言していた漆原自身が自分を疑ったこともあり,漆原は自殺.

漆原に関する告発文を矢倉に送り続けていたのは,看護師の内野.内野は妻子持ちの漆原と肉体関係を持ち,想像妊娠をしてしまう.そんな内野を遠ざけようとした漆原は,内野に対してあるものを見せ,その結果内野はクリニックを去ることにした.漆原が見せたものとは,Aケアの手術で切断した患者の四肢のホルマリン漬け.

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